第8章

真夜の視点

一年後、私は緑野町公民館のホールに立ち、三度目になるお母さんのブレザーの襟を直していた。

お母さんは完璧にセットされた髪で、実に晴れやかだった。その顔には、私が大好きになった自信に満ちた微笑みが輝いている。

「真夜、もういいから」お母さんは笑いながら、私の手をそっと払いのけた。「ただでさえ緊張してるんだから」

「何も緊張することなんてないでしょ」私は自分のドレスを直しながら言った。「郡で一番の優秀な経営者として表彰されるんだから」

ステージの上に掲げられた横断幕には、『地域生活情報誌選定 今年の地域交流スペース大賞』と書かれていた。その下には、小さな文字で『...

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