第7章

藤本拓海視点

十二月半ばのある土曜の午後、長野に雪が舞い始めた。天気予報では吹雪になると言っていたから、父さんには食料や物資を買い込んでおくように念を押された。

私は自分の部屋で歴史の課題に取り組んでいた。第二次世界大戦に関する情報が必要だったんだ。父さんの書斎に軍事史関連の本があったのを思い出し、いくつか借りることにした。

書斎のドアを押し開けると、ブラインドの隙間から陽光が差し込み、床に縞模様の影を落としていた。書斎は父さんの自衛官時代の記念品や勲章、様々な書類で整然と片付けられている。

本棚で歴史の本を探していると、うっかりファイルフォルダーを倒してしまい、床一面に書...

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