第8章

藤本和美視点

「あの子を見つけないと!」私はコートを羽織り、吹雪に向かって叫んだ。「今夜は気温がマイナス二十度まで下がる――凍え死んじゃうわ!」

丈史はすでに電話をかけ、自衛隊のあらゆる連絡先と専門の山岳救助隊を動員していた。

「藤本さん、この天候では危険すぎます」無線から救助隊長の田中さんの声が聞こえる。「視界は十メートルもありません。雪が止むまで待つべきです――」

「いやっ!」私は無線機をひったくった。「低体温症になる前にあの子を見つけないと! 十四歳の子供が吹雪の中にいるのよ――今すぐ動かないと!」

「奥様、お気持ちは分かりますが――」

「あなたには分からない!」私の声...

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