第102章

中村奈々は退院の荷物をまとめ終えたところだったが、病室を出ようとした矢先、中村美知子と中村智に行く手を阻まれた。

悪意に満ちた二人を見て、奈々は眉をひそめる。冷ややかな視線を一瞥くれただけで、無視して通り過ぎようとした。

だが、智がすぐに追いすがり、彼女の服を掴む。

奈々は立ち止まり、厭わしげに彼の手を振り払った。

「私を陥れるだけじゃ飽き足りないの? さっさと失せなさい。二度と私の前に顔を見せないで」

智は涙を拭いながら、情けない声を張り上げた。

「姉さん、俺が悪かったよ。魔が差したんだ、どうかしてたんだよ……頼むよ、もう一度だけチャンスをくれ……」

その白々しい被害者面を見...

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