第111章

中村奈々は断ろうとしたが、全身を襲う倦怠感と鈍痛には抗えず、結局その申し出に甘えることにした。

小川翔太の車に乗り込むと、車内は暖房が効いていて心地よかった。奈々はシートに身を預け、瞳を閉じて浅い眠りに落ちる。

バックミラー越しに奈々を見やる小川。彼女は眠っていた。口元に微かな笑みを浮かべたその寝顔は、安らかで、かつ魅惑的だった。

彼は視線を戻し、ホテルへと車を走らせる。

展示センターからホテルまでは車で十分ほどの距離だ。ほどなくして、小川の車はホテルのエントランスに滑り込んだ。

彼は熟睡している奈々を振り返り、優しく声をかける。

「中村さん、起きて。着きましたよ」

その声に、...

ログインして続きを読む