第112章

中村奈々は黒田謙志の後ろをついて歩きながら、こっそりと周囲の装飾に目を走らせた。

豪華というわけではないが、どこか趣向を凝らした造りで、古風で洗練された優雅さが漂っている。不思議と心が落ち着く空間だ。

(この店のデザイナー、相当センスがいいわね)

心の中で感嘆しながら、中村奈々は席に着いた。

黒田謙志も遠慮する素振りなどなく、椅子を引いて彼女の隣に腰を下ろす。

すぐに店員が料理を運んできた。中華風の皿からは食欲をそそる香りが立ち上り、彩りも鮮やかで、見ているだけで喉が鳴りそうだ。

中村奈々はテーブルに並んだ精緻な料理を見つめ、ごくりと生唾を飲み込んだ。

「食え」

「あ、はい…...

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