第113章

中村奈々がバスルームから出てきたとき、パジャマのボタンは一番上まで几帳面に留められていた。彼女はリビングのベッドに横たわる黒田謙志を一瞥すると、固く唇を引き結んだ。

「私、ソファで寝ますから」

中村奈々はそれだけ言い捨てて背を向けた。

黒田謙志はベッドから身を起こすと、そのままバスルームへと向かう。シャワーを浴び、バスローブだけを纏って戻ってくると、中村奈々はすでにソファに横たわっていた。どうやら疲れ果てて眠ってしまったらしい。

彼は音もなく近づき、その手入れの行き届いた指先で、彼女の滑らかでキメの細かい肌を愛でるように撫でる。指は名残惜しそうに、そこで動きを止めた。

中村奈々の睫...

ログインして続きを読む