第125章

「逃げられた!」

黒田謙志は悔しげに歯噛みした。

「追っ手を差し向けたが、空振りに終わったようだ。影も形もねえ。恐らく、海外へ高飛びしやがったんだろう」

それを聞いた瞬間、中村奈々の顔から血の気が引いた。震える声が唇から漏れる。

「私のせいです……あなたの忠告を聞いていればよかった。勝手に動いて、相手を警戒させてしまうなんて……」

言葉の終わりには、中村奈々の瞳は赤く充血し、涙で溢れそうになっていた。

彼女は自分自身を激しく呪った。父の冤罪を晴らす手がかりをようやく見つけたというのに、自らの愚かさでそれを握り潰してしまったのだ。死んでしまいたいほどの自己嫌悪が襲う。

黒田謙志は...

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