第128章

山本大賀からの電話報告を聞きながら、黒田謙志は胸の奥が焼けつくような苛立ちを覚えていた。

通話を切るなり、彼は携帯電話を助手席へと叩きつける。アクセルを強く踏み込むと、黒塗りのマイバッハは弦から放たれた矢のごとく、交通量の多い河市の市街地を猛スピードで疾走し始めた。

中村奈々がマンションのエントランスに足を踏み入れた瞬間、バッグの中で携帯電話が震えた。取り出して確認すると、差出人不明のメールが一通届いている。

彼女は眉をひそめ、胸の内に得体の知れない不安が広がっていくのを感じた。

メールを開くと、動画ファイルが添付されている。一瞬ためらったものの、指先は再生ボタンを押していた。

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