第154章

「社長……」

「出ていけ――」

 彼の声には深い悲愴が滲み、その瞳の奥には絶望的な哀しみが浮かんでいた。

 山本大賀は歯を食いしばりながら退室し、病室のドアを閉めた。

 病室に再び静寂が戻り、黒田謙志の重苦しい呼吸音だけが残された。

 彼は瞳を閉じた。脳裏には中村奈々と高橋文也が寄り添う光景が絶え間なくフラッシュバックする。かつて奈々と過ごした甘い記憶の数々は、今や鋭利な刃と化し、一太刀ごとに彼の心臓を抉り続けていた。

 中村奈々がこれほど決絶したやり方で自分の世界から去り、すべての愛慕を無慈悲に葬り去るとは、夢にも思わなかった。

 黒田謙志は胸の奥に耐え難い鈍痛を感じた。腹部...

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