第160章

中村良太郎がミャンマーにあるそのバーに足を踏み入れた瞬間、タバコと酒、スパイス、そして熱気が入り混じった空気に全身を包まれた。

揺らめく昏い照明。エキゾチックなムード満点の音楽。その強烈なドラムの響きは、心臓のリズムさえも支配しそうだった。

前を歩く数人の現地商人は、傲慢そのものといった様子で顎を突き出し、ミャンマー語で言った。

「我々と提携したい会社など、それこそ星の数ほどある。お前のような弱小企業を選ぶ理由がどこにある?」

彼らの背中を追いかけながら、中村良太郎は眉をひそめ、それでも諦めきれずにたどたどしいミャンマー語で懇願した。

「タイさん……」

「もういい、その話は後だ」...

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