第24章 高橋教授の授業

中村美知子の言葉に、中村奈々は一瞬にして崩れ落ちた。堪えていた涙が堰を切ったように溢れ出し、頬を伝う。

「お母さん、どうしてそんなに私を追い詰めるの? 私がどんな目に遭ったか、一度だって聞いてくれたことないじゃない。お母さんが気にしてるのは、私がお母さんのためにいくらのお金を用意できるかってことだけ。……好きにすればいいわ。どうせ私は、死んでも森田杏莉と和解するつもりなんてないんだから。勝手にして!」

そう言い放つと、彼女は一方的に電話を切った。

水原瀬那が歩み寄り、ティッシュを数枚手渡しながら心配そうに尋ねる。

「中村奈々、どうしたの?」

中村奈々は顔の涙を拭い、無理に気丈な笑み...

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