第94章

中村奈々はきょとんとして、聞き返した。

「授賞式って、何のことですか?」

「招待状、まだ届いていないのか?」

高橋文也は不思議そうに尋ねた。「確かに手配させたはず……」

高橋文也は何かを思い出したようで、苦笑して言った。

「悪いな、奈々さん。招待状は後で誰かに届けさせるよ。君が前に美術協会に出した作品、金賞を獲ったんだ」

「本当ですか?」

中村奈々は驚きと喜びの声を上げた。諦めかけていた作品が、まさか受賞するとは思ってもみなかったのだ。

「ああ、おめでとう」

高橋文也は笑顔で祝福した。

「ありがとうございます、高橋さん」

この時、中村奈々は高橋文也との間の気まずい関係を...

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