第11章 華麗なる身バレ

 会議室の中。

 私は上座に深く腰掛け、津川陸が持参した事業計画書を漫然とめくっていた。

 床から天井まで続くガラス壁の向こうには、東京で最も美しいスカイラインが広がっている。差し込む陽光が、足元の絨毯にまだらな光と影を落としていた。

 正面に座る津川陸は、まるで叱られた小学生のように落ち着きがない。両手を固く握りしめているが、その掌が脂汗で濡れているのが見て取れた。

 着ているスーツは体に合っておらず、袖が短すぎて手首が覗いている。ネクタイの結び目も歪で、一目で自分でやったのだとわかった。

 以前は、私が毎朝結んであげていたのに。

「水谷……水谷会長」

 喉仏を数回上下させ、...

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