第8章 捜索実らず

 津川陸はあらゆるコネを使って知夏を探した。

 五百万円を費やして東京で一番の探偵事務所を雇った。

 警視庁の友人に頼んで、知夏の足取りを追わせた。

 裏稼業に関わる取引先を通じて、アンダーグラウンドのルートまで使った。

 その結果、戻ってきた情報は彼を戦慄させた――該当者なし。

 知夏はこの世界から抹消されたかのように、すべての記録が消えていた。

 銀行口座は解約され、携帯番号は使われておらず、社会保険の記録さえ見つからない。

 彼女の過去に関しては、完全な空白だった。

「津川社長、こういうケースは一つしか考えられません」

 探偵は汗を拭いながら言った。彼はこの道のベテラ...

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