第109章 尘世に引き込まれる

原田日菜は地面から立ち上がると、顔の涙を力強く拭った。「佐藤茜!」

その声には殺意がこもっていた。

原田日菜が去っていく背中を見ながら、この一部始終を見物していた中川菜々美と山口理沙は目を大きく見開いた。

山口理沙はちっちっと舌打ちを二度する。「女ってマジで怖ぇな」

一方、中川菜々美は言った。「麻友姉さんに報告しに行かなきゃ」

山口理沙もふわりと浮かび上がり、二つの魂体は原田麻友の部屋へと押し入ると、身振り手振りを交え、階下で起こった出来事を洗いざらい話した。

中川菜々美は腹を立てていた。「どうしてこんなに悪い人がいるの。だから言ったのに、あの子は悪い子だって」

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