第110章 鬼の廟への旅

翌日。

空はどこまでも青く、清々しい天気だった。

一行は早朝から鬼の廟へと向かった。

鬼の廟が建てられている山はさほど高くなく、土の道を三十分ほど歩き、竹林を抜けると、目の前の視界がぱっと開けた。

七、八メートルほどの高さの廟が目の前にそびえ立っている。

廟の屋根は瑠璃色の金瓦で葺かれ、本体は木造だ。

古風な趣に満ちている。

佐藤茜は原田麻友の隣に立ち、言った。

「この前来た時は、こんなに新しくなかったんだけど。どうやら誰かが願掛けのお礼に来たみたいね」

彼女は原田麻友の腕を引く。

「原田麻友、聞いて。うちの父が呼んだ道士、鬼の廟に入ってから、あっという間に煤けた顔で出て...

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