第152章 蛇の媚

夜、中川裕大と大野佳奈は彼女の寝室のドアの前で、しばらくもじもじとじゃれ合った末、ようやく別れた。

彼は幸せそうな笑みを満面に浮かべ、ぴょんぴょんと跳ねるように自室へと向かう。

角を曲がったところで、その足がぴたりと止まった。

「麻友さん!」

中川裕大はにこやかに、どこか得意げに原田麻友へ向かって眉を上げた。「麻友さん、どうです? 俺の婚約者、可愛いでしょう! 綺麗なだけじゃなくて、物知りで、物知りなだけじゃなくて、優しくて、優しいだけじゃなくて、親切で」

「俺の婚約者はどうしてこんなに完璧なんだ!」

原田麻友は中川裕大が大野佳奈の美点を並べ立てるのを、静かに聞いていた。

彼が...

ログインして続きを読む