第7章 潮汐表の秘密

 潮騒が、夢の底から響いてくる。

 夏川圭一は、妻の紬が昏い海の中に立っているのを見た。彼女の声は風に千切れ、途切れ途切れにしか届かない。

 『圭一……助けて……子供が……』

 必死に紬の方へ泳ごうとするが、海水が鉛のように四肢にまとわりつく。紬の姿はみるみるうちに遠ざかり、差し伸べられた手は月光の下で病的なほど青白く、絶望に染まっていた。

 「紬!」

 圭一はソファから跳ね起きた。額には冷や汗が滲み、胸に抱いていた写真立てが涙で濡れている。

 無理やり荒い息を整える。これ以上、悲嘆に暮れているわけにはいかない。紬はもういない。だが、彼女が遺した手掛かりはまだ残っている。

 紬...

ログインして続きを読む