第11章 腫瘍

実は鈴木蛍は、かなり前から鈴木瑠璃と藤原圭の過去の恋愛関係を知っていた。二年前、彼女が鈴木瑠璃の部屋を物色していた時、日記と、その中に挟まれた栞を見つけた。その栞には藤原圭の直筆サインがあり、十年前の日付が記されていた。

十年前の鈴木瑠璃は今の名前ではなく、容姿も大きく変わっていたため、藤原圭は彼女だと気付かなかった。

それは鈴木蛍に絶好の機会を与えることとなった。

しかし、これらのことは藤原圭に知られる必要はない。このまま誤解させておけばいい。善良で純真な少女は自分だと思わせておけばいい。

愛される側の気持ちは、あまりにも素晴らしい。一度味わえば、もう手放せなくなる。

鈴木瑠璃は...

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