第4章
ノラ視点
狭い空間を、弾丸が引き裂いていく。
私はベッドに飛び込み、マットレスの下に隠したグロックを掴む。転がる。狙う。撃つ。一連の動作は流れる水のようだ。一番近くにいた黒服の男は、瞬きする間もなく崩れ落ちた。
ケイルのチームが窓を突き破って突入してくる。六人、全員が完全武装だ。部屋は一瞬にして戦場と化した。
マルコは素早い。一番近くにいた男を盾に引き寄せ、ドアに向かって後ずさりながら発砲する。「退却だ!ボスに奴が生きていると伝えろ!」
「奴を外に出すな!」ケイルが叫ぶ。
だがマルコはすでにドアを抜け、廊下をブーツで踏み鳴らしながら走り去っていく。ケイルの部下が二人、後を追う。階段の吹き抜けで銃声が響き、続いて罵り声が聞こえた。マルコは援護を待機させていたのだ。
部屋が静まり返る。
床には二つの死体。
そして、私。
ケイルがゆっくりとこちらを向く。手にはまだ銃が握られている。彼の部下たちも武器を構え直し、その銃口は私に直接向けられてはいないものの、明らかに私を射程に捉えている。まだ、だが。
空気が爆発しそうなほど張り詰めている。
「一体、何者だ?」ケイルの声は静かだ。怒鳴られるよりも恐ろしい、そんな静けさだった。
私は自分の左手首に目を落とす。忌々しい傷跡がまだそこにある。何をしても消えない、過去の人生の証。
「銃を下ろして」私は彼の部下たちに言う。「私はあなたたちの敵じゃない」
「では何者だ?」ケイルは繰り返す。
私は目を閉じる。
数秒の沈黙の中、千もの選択肢が頭をよぎる。嘘を吐き続ける?別の話を作り上げる?それとも……。
「一度死んだ人間よ」私は目を開け、彼をまっすぐに見つめる。「もう二度と死にたくない」
彼に本当の弱さを見せたのは、これが初めてだった。
演技じゃない。戦略でもない。
本物の恐怖。
なぜなら、私は本当に死んだのだから。あの火事で、ルシアンの裏切りの中で、爆発が私を引き裂いた瞬間に。
ケイルは長い間、私をじっと見つめていた。
やがて、彼は銃を下ろした。
「外に出ろ」彼は部下たちに言う。「廊下を警護しろ」
「ボス――」
「出ろ!」
彼らは出ていくが、ドアのすぐ外にいるのは分かっている。いつでも飛び込んでくる準備はできているだろう。
二人きりになった。
ケイルはバスルームへ歩いていき、救急箱を掴んでくる。「座れ」彼はベッドを顎で示して言った。
一瞬ためらったが、私は腰を下ろした。
彼は私の前に跪き、傷の確認を始める。その手つきはプロフェッショナルで、優しい。犯罪組織のボスとは思えないほどだ。左腕のかすり傷、肋骨に沿った打撲、そして戦闘中に再び開いてしまった手首の古傷。
「これは路地裏の喧嘩でできる傷じゃない」彼は消毒薬で切り傷を拭いながら言う。「君は、殺し屋か、それに類する者だな」
私は黙っていた。
彼は作業を続ける。その指が、私の肩甲骨にある別の傷跡に触れた。あれは十年前、ルシアンが訓練中に「誤って」私を切りつけたときのものだ。痛みが記憶を刻むと言っていた。
「この傷跡は……全部、同じ人物につけられたのか?」
「ほとんどは」私は静かに答えた。
「ルシアン・クロス」
「彼に殺し方を教わった」自分の口から言葉が漏れる。「闇の中での動き方を。痛みの受け止め方を。痛みは人を強くすると、彼は言った」
ケイルは手を止め、私を見上げた。
「それで?」
「そして私が強くなりすぎて、危険になりすぎて、あまりに多くの秘密を知りすぎたとき」私は苦々しく笑う。「彼は私が消えるべきだと決めたのよ」
「では、あの火事は……」
「彼が自らの手で手錠をかけ、自らの手でボタンを押した」私の声は震えている。「彼はあのクラウンのネックレスを手にしながら、『お前は甘すぎるから死ななければならない』、と言ったわ」
ケイルの手が、私の手首の上で止まる。
「君が過去に何者だったかなんてどうでもいい」彼の目は揺るぎなく、ゆっくりと言った。「俺が気にするのは、君が今、何者でいようとするかだ」
その言葉は、私の胸に深く突き刺さった。
誰も……今まで誰も、私にそんなことを言ってくれた人はいなかった。
「ルシアン・クロスは私を兵器にした」初めて、その言葉を口にする。「そして私が問題になると、私を破壊しようとした」
「なら、先に奴を破壊する」ケイルはそう言って、私の手を取った。
彼の手は温かい。荒れているが、がっしりとしている。
重ねられた手を見つめていると、過去の人生では一度も感じたことのない何かが、胸の奥で湧き上がってくる。
信頼。
単純でいて、なんて複雑な感情だろう。
ルシアンは私を信頼したことなどなかった。ただ、利用しただけだ。
でも、ケイルは……。
私の戦闘技術を、怪しい素性を、マルコが私を知っていたという事実を見ても――彼はまだ、私を信じることを選ぼうとしている。
「どうして?」私は尋ねる。「どうして私を信じるの?」
「今夜、君が俺の命を救ったからだ」と彼は言う。「あの倉庫で。三丁の銃に俺を仕留めさせることもできた。だが、君はそうしなかった。それが全てを物語っている」
彼は立ち上がるが、私の手は離さない。
「疲れているだろう。少し休め。外には人を置いておく。マルコは逃げた。奴はルシアンに報告を持ち帰るだろう。ここ数日は荒れるぞ」
彼はドアまで歩き、そこで立ち止まった。
「ノラ」彼は振り返る。「あるいはゴースト、君が何者だったにせよ――ここでは、君は俺の仲間だ。それを忘れるな」
彼の背後でドアが閉まる。
私はベッドの端に座り、手のひらから温もりが消えていくのを見つめている。
過去の人生では決して得られなかったこの信頼という感情が、欲しくもあり、同時に恐ろしくもある。
なぜなら、信頼は執着を生むから。
そして執着は、弱さになる。
