第8章

ノラ視点

 二十三時間後、私はブルックリンにある古びた教会の外に立っていた。

 ゴシック様式の尖塔が、黒い牙のように夜空を切り裂いている。この場所は何年も前に打ち捨てられ、窓は割れ、壁は落書きで埋め尽くされている。だが、私はこの場所を隅から隅まで知り尽くしている。

 十年前、ここでルシアンに拾われた。バンに引きずり込まれようとしていた私を、人身売買人の手から引き離して。命の恩人だと言った。

 今夜、私が彼の命を終わらせる。

 重い木製の扉を押し開ける。錆びついた蝶番が軋む音を立てた。

 内部に光はほとんどない。散らばった数本の蝋燭の炎が、崩れかけた壁に影を踊らせているだけだ。古い...

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