第108章

一昨日の夜、狼の群れが襲来したあの混乱を思い出す。毒キノコの粉を混ぜた鹿肉を放り投げたとはいえ、果たしてすべての狼がそれを口にしたかどうか、確証は持てなかった。

中村悠一の行動は理解に苦しむものだった。たとえ狼が倒れていたとしても、翌朝まで待ち、万全の準備を整えてから様子を見に行くのが定石だろうに。

案の定と言うべきか、俺たちが少し走り出した矢先のことだ。暗がりに潜んでいた一匹の狼が、突如として猛進してきた。

三船亜由美たちは素早く木の扉を閉ざし、俺は手にした機械式クロスボウを構え、狂ったように突っ込んでくる狼に狙いを定めた。

だが、引き金を引こうとしたその瞬間――狼は足をもつれさせ...

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