第112章

「忘れるなよ。ただでさえ俺たちの食料も足りてないんだ。それに、こいつは狼だ。犬じゃない」

 俺がそう忠告すると、大平愛子は同意するように小さく頷いた。

 結局、俺たちはこの野生の狼の命を絶つことに決めた。

 小松博と黒田輝が、木の棒を削って作った槍を高く掲げ、狼へと歩み寄る。

 己の最期を悟ったのか、狼は狂ったように暴れ出した。

 後ろ足を縛り付けている樹皮の縄を噛み千切ろうとし、凄惨な悲鳴を上げる。

 あまりにも無残な光景に、三船亜由美たちは顔を背け、直視することを避けた。

 不意に、小松博が好機を捉えた。手にした木の槍を、躊躇なく狼の首筋へと突き立てる。

 鮮血が飛び散り...

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