第123章

その時、本田安奈が濡れタオルを手に戻ってきた。

彼女は俺の脈を取り、額に手を当てて熱を確かめると、安堵の溜息を深く漏らした。

「もう大丈夫。よく持ちこたえたわね」

大平愛子が俺の頬をぺちペちと軽く叩く。

「おじさん? 何か言いなさいよ! 熱で頭が沸いちゃったんじゃないの!」

口調こそ軽口だが、その瞳に滲む深い憂慮は隠しきれていなかった。

まだ頭の芯に霞がかかったような感覚はあるが、以前よりは遥かにマシだ。

不意に、大平愛子が俺の無防備な二の腕を力任せに抓り上げた。

「いっ! 痛ってぇ!」

あまりの激痛に身を震わせ、俺は悲鳴を上げた。

彼女はほうっと息を吐き出し、俺をじっと...

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