第156章

巨大な白樺の木の陰へと足を踏み入れたその瞬間、長谷川翼が躍り出た。

手には精巧な鋼の短剣が握られ、俺の急所を狙って突き出される。

俺は咄嗟に身を引くと、右腕で奴の手首をガッチリと掴み、切っ先を寸前で食い止めた。

必殺の一撃をこうもあっさり防がれるとは思っていなかったのだろう。長谷川翼は眉を顰め、その瞳に底冷えするような殺気を走らせる。

次の瞬間、奴はいきなり頭突きをかましてきた。

俺は奥歯を噛み締め、逃げるどころか自らも額を突き出し、正面から迎え撃つ。

ドゴォッ!

鈍い音が響き渡り、二メートルはある長谷川翼の巨体がぐらりと揺らいだ。

俺はその隙を見逃さず、奴の右目に拳を叩き込...

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