第166章

 三船亜由美がこちらを見上げて言った。

「おじさん、あっちの海岸の石のところ、そろそろ塩ができてるはずだよね。取りに行こ」

 おれは黙ってうなずき、粗塩をすくうための柄杓と、塩を入れる陶器の壺を手に取ると、三船亜由美と並んで海岸の石へ向かった。

 着いてみると、目に飛び込んできたのは、いくつかの丸い窪み。その底に、白い粗塩の結晶がきらきらと浮かび上がっている。

 おれたちは並んでしゃがみ込み、柄杓で塩をすくっては、黙々と壺に移し替えていった。

 そのとき、三船亜由美が不意に口を開いた。声色には、ほんの少しだけ不安が混じっている。

「おじさん、今さ……大平愛子のこと、すごく信用して...

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