第169章

まさに懸念していた事態だ。

猿人たちに牧畜という概念などない。目先の食欲を克服させ、将来のリターンを見据えて家畜を養わせるというのは、やはり至難の業だったか。

事ここに至ったのは想定内としても、赤毛の猿人が黒毛の猿人に権力を奪われたことまでは予想外だった。

俺は赤毛の猿人との間に信頼を築き、彼をパイプ役として群れ全体を掌握してきたつもりだ。だが、群れのリーダーが黒毛に入れ替わった今、これまでの苦労は水の泡になったのか?

そう考えると、ふつふつと怒りが湧いてくる。

武力だけで言えば赤毛の方が群れの中で最強のはずだ。黒毛ごときに後れを取るはずがない。

理由を推測するに、俺が不在の間、...

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