第173章

赤毛は疲労困憊といった様子だが、それでも懸命に目を見開いていた。彼らの文化において、夜警はリーダーの務めなのだ。

 睡魔と戦うその姿がおかしくて、つい笑いがこみ上げてくる。

 視線に気づいたのか、彼は照れくさそうな笑みを返してきた。

 俺が代わるから休めと合図を送ったが、彼は首を横に振り、この場に残ると譲らなかった。

 夜の帳が下り、あたりは虫の音だけが響く。燃え盛る焚き火と向き合い、起きているのは俺一人だけとなった。

 思考は自然と、かつての骨董品店での生活へと飛んでいく。

 ここから生きて脱出し、あの日常に戻れる日は来るのだろうか。

 物思いに耽っていると、不意に大平愛子が...

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