第176章

もうダメだ、蛇の餌食になる――そう覚悟した瞬間だった。

頭上から影が舞い降り、鋭い寒芒が一閃したかと思うと、大蛇の頭が生きたまま叩き斬り落とされていた。

「ぐっ……!」

どす黒い鮮血が俺の全身に降り注ぐ。頭を失った大蛇の巨体は、まるでこれまでの奴らと同様に、滅茶苦茶にのたうち回り始めた。

俺はピクリとも動かなくなった蛇の頭を放り捨て、大平愛子の腕を掴んでその場を離脱した。背後では、樹木がへし折れる凄まじい音が森に木霊していた。

不意に舞い上がった土煙を吸い込んでしまい、喉の痒みに襲われ、俺は激しく咳き込んだ。

一陣の山風が吹き抜け、土煙が晴れていく。大平愛子を支えながら視線を向け...

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