第179章

大平愛子はその様子を見て、心配そうな眼差しで俺に尋ねた。

「おじさん、さっきはどうしたの?」

 俺は深く息を吐き出し、手を振って『大丈夫だ』と合図を送る。

 続いて、俺は赤毛の猿人に向き直り、身振り手振りで『獲物を神に捧げる』という意思を伝えた。

 赤毛の猿人は俺の意図を概ね理解したようだが、困惑と迷いの動作を見せる。

 少し考え込んだ後、彼は立ち上がり、部族の仲間に俺の要求を伝達し始めた。

 多くの猿人たちは不満そうな表情を浮かべたが、赤毛への信頼、そして部族の信仰に対する畏敬の念から、最終的には『神が獲物の半分を持ち去る』という要求を受け入れたようだ。

 ひとしきり喧噪が続...

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