第181章

河野由貴はしばらく黙り込んでいたが、やがてぽつりと口を開いた。

「おじさん。時々思うの。もし、この島でずっと生きていけるなら、それも悪くないかもって」

 俺は彼女を見て頷き、問いかけた。

「文明社会には戻りたくないのか?」

 河野由貴は質問には答えず、ただ海を見つめ続けたまま言った。

「帰りたいです。でも、この島での生活を経験してしまったら……帰りたくないとも思うんです!」

 彼女の目尻に涙が浮かぶ。以前の不愉快な出来事を思い出したのだろう。

 俺は少し迷った。そばに行って慰めるべきか、どうか。

 躊躇していると、突然、河野由貴が俺の胸に飛び込んできた。彼女は俺の首に腕を回し...

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