第191章

俺は奴の様子を少し観察してから、にやりと笑って頷き、ボートに上がるのを許可した。

赤毛の猿人は深く息を吸い込むと、勇気を振り絞って海へと足を踏み入れ、素早く俺たちの方へ泳いできた。

辿り着いた奴は不格好な手つきで救命ボートによじ登ると、力が抜けたようにへたり込み、肩で息をして荒い呼吸を繰り返している。

岩崎恵がからかうように言った。

「おじさん、見てよ。この猿人、図体はでかいのに海を怖がってるなんて、なんか傑作だね」

俺は答える。

「怖がってはいるが、赤毛は己の恐怖をある程度克服したようだ。あえて水に入ってきたんだ、それだけでも大した進歩だよ」

「ねえおじさん、こいつは何しにボ...

ログインして続きを読む