第20章

三船亜由美は怒りのあまり、大平愛子の髪を掴もうと手を伸ばしたが、逆に毛先をしっかりと掴まれ、強く引かれた。その痛みに彼女は甲高い悲鳴を上げ、見る影もなくなった。

この光景を目の当たりにして、俺はもう見て見ぬふりなどできなかった。勢いよく前に出て大平愛子の手首を固く掴み、鋭い眼差しで言い放つ。

「大平愛子、いい加減にしろ! さもないと、海に放り込んでサメの餌にしてやるぞ!」

俺の低く脅迫的な声が、張り詰めた空気に響き渡った。

大平愛子は目を丸くして俺を見つめ、まさか俺が自分に手を出すとは思ってもみなかったという顔だ。

彼女は冷ややかに言った。

「おじさん、よくも私を殴ったわね?」

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