第22章

何一つ味付けされていない亀の肉は、見た目こそ素朴だが、資源の乏しい我々にとっては格別に貴重なものだった。

しかし、淡水が不足し、調理法も簡素だったため、その肉汁には無視できない生臭さが漂っていた。

大平愛子は一口味わったかと思うと、たちまち顔をしかめ、躊躇なく吐き出した。

「なによこの味、とてもじゃないけど食べられないわ!」

三船亜由美たちも眉をひそめ、白崎由美子に至っては率直に口にした。

「おじいさん、これ、あなたが焼いてくれたのとは大違いよ」

俺はと言えば、そんなことには構わず、椀の中の汁と肉を一気に飲み干し、満足げな笑みを浮かべて口元を拭った。

その様子を見て、三船亜由美...

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