第23章

その言葉に、一同は驚愕した。特に三船亜由美は、それが大平愛子の口から出たとは信じられない、といった様子だった。

俺も意外に思い、大平愛子に視線を向けると、彼女は固い決意を秘めた眼差しをしていた。

三船亜由美はしばし考え込んだ末、最終的に決断を下した。「おじさん、本田安奈とあなたが行く方がより確実だわ」

その言葉は、意図的に大平愛子を無視しており、その意図は明白だった。

大平愛子はそれを察し、何も言わずにただ静かに立ち上がると、身についた砂埃を払い、脇へと移動した。

三船亜由美の視線が、大平愛子の後ろ姿に一瞬留まる。その瞳には、どこか複雑な色がよぎった。

俺は密かに思った。三船亜由...

ログインして続きを読む