第28章

その様子を見て、俺もすぐに行動に移した。自分の椀に入っていた貝殻を本田安奈に渡し、代わりに彼女の椀にあった貝殻を自分のものとしていただく。

このひと騒動で、皆どこか気まずく口数が少なくなった。

食事が終わると、三船亜由美が蛤を煮るための海水を新しく汲みに行くと申し出た。

俺は好機とばかりに、彼女と二人きりで話をするために後を追った。

今夜は月明かりがとても明るく、砂浜全体を照らし出している。

俺たちは肩を並べて海辺を歩く。波が岸辺に打ち寄せ、心地よい音を立てていた。

「おじいさん、今回の外出で一体何があったの」

三船亜由美が不意に立ち止まり、真っ直ぐな瞳で俺を見つめた。

「ど...

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