第39章

森の奥深くへと進むにつれて、空気はますます清々しくなり、鳥のさえずりが次々と聞こえてくる。まるで大自然が奏でる交響曲のようだ。

俺は次第に呼吸を整え、高鳴る胸をゆっくりと鎮めていった。

脳裏には本田安奈とのあのキスが繰り返し再生される。それはまるで暖流のように、俺が前進する道を温め、信念をより一層固いものにしてくれた。

歩を進めるうちに、俺は目の前の道に集中し始めた。

幸運なことに、道中、猛獣に襲われることは一切なく、遥か彼方に見えていた巨石と清らかな小川が、もう目の前にあるかのように感じられた。

太い木の幹に寄りかかると、言葉にできないほどの安堵と感謝の念が込み上げてくる。「今日...

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