第44章

大平愛子はそっと腕を組み、その眼差しには諦観と嘲りが入り混じった色が浮かんでいた。「おじいさん、あなたはいつも遠くの未知なるものに好奇心を抱いているようだけど、目の前の差し迫った危機を忘れていやしない? 私たちの水源はもうすぐ尽きるわ。ガレ場のキャンプ地にある保冷袋には、もう大した水は残ってないのよ」

俺は軽く額に手を当て、雲を突き抜けて遥か彼方の空を見上げ、心の中で静かに祈った。「天が我々を憐れみ、恵みの雨を降らせてくれればいいが。さもなければ、再び水探しの旅に出るしかないな」

大平愛子は俺を上から下まで値踏みするように見つめ、口元にからかうような笑みを浮かべた。「おじいさん、あなたの...

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