第51章

前谷鈴音はかすかに微笑み、俺の方を向いて言った。「その熊の手、そろそろ処理しないと傷んじゃうかも。今日、煮込んでみようと思うんだけど」

白崎由美子が尋ねる。「今日の晩ご飯は、もしかしてその熊の手ですか?」

俺は頷いた。「ああ! 早く食べないと勿体ないからな! 前谷鈴音、任せたぞ」

前谷鈴音は頷いて承知した。

羊乳が煮えると、俺たちはそれぞれ一杯ずつ器に注ぎ、飲み始めた。

その後、俺は本田安奈たちを率いて陶器の壺を手に、海岸の岩場へと向かった。

岩礁の浜と生い茂る茂みを抜け、俺たちは無事に海岸の岩場に到着した。

一晩中続いた雨に洗われ、海岸の岩はひときわ清潔に見え...

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