第54章

こんなに高価な赤ワインを飲んだことはないが、これが滅多にない贅沢であることは分かった。

大平愛子は続けて言った。「これはただのワインセラーじゃないわ。芸術品よ!」

大平愛子はそっとワインセラーを元の位置に押し戻し、再び扉を閉めた。

三船亜由美は大平愛子を見て、少し不思議そうに尋ねた。「大平愛子、あなた、どうしてこのワインセラーにそんなに詳しいの?もしかして、これ、あなたの家のもの?」

大平愛子は立ち上がり、腰に手を当てて三船亜由美を見据え、毅然とした口調で言った。「三船亜由美、おっしゃる通りですわ。このワインセラーは、まさしく私の父が一月前にヨーロッパの富豪から購入したもので、中のワ...

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