第66章

俺は眉をひそめ、尋ねた。

「確か、俺たちが帰ってきてから一緒に飲むって言ってなかったか?」

大平愛子は笑った。

「明日、あなたたちは探索島へ行くんでしょう! これは私が長いこと取っておいたお酒で、餞別よ! こんなに美味しいお肉があるのに、お酒がなかったらもったいないじゃない! それに、もう二度と飲めなくなっちゃうんじゃないかって心配したのよ!」

俺は思わず額に手をやった。

「大平愛子、そういう言い方だと、俺たちがもう帰ってこないとでも思ってるみたいだぞ?」

それを見かねた前谷鈴音が、そっと俺の肩を叩いた。

「おじいさん、大平愛子さんがお酒を飲ませてくれるだけでもありがた...

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