第74章

俺は小声で言った。

それを聞いた三船亜由美と本田安奈は、二人とも安堵の息を漏らした。

焼き魚の香ばしい匂いが辺りに漂い、思わず腹がぐぅっと鳴る。

ふと視線を向けると、白崎由美子はまだ焚き火の傍らで眠りこけていた。

俺は眉をひそめ、問いかける。「本田安奈、俺たちが持ち帰った薬草は効いたのか?」

「はい、効きました。昨晩、白崎由美子さんは熱を出していたんですが、今はもう下がっています」と本田安奈は答えた。

俺は深く息をつき、立ち上がろうと試みる。だが、少しでも動こうものなら、腕と体の前面にある傷口が引き裂かれるように痛んだ。

本田安奈が慌てて俺を支える。彼女は心配そうに尋ねた。「お...

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