第76章

前谷鈴音が焚き火から燃え盛る木の棒を取り、鉄製の燭台に立てられた白い蝋燭に火を灯した。

我々はナイフとフォーク、スプーンを手に取り、目の前の食事にありついた。

キノコが混ざった熊肉のグレイビーソースは、濃厚で旨味が強く、口の中でとろけるようだ。熊肉の食感もまた素晴らしく、滑らかで非常に美味しかった。

食後、大平愛子がどうしてもと我々に酒を注ぎ始めた。

三船亜由美がデキャンタを受け取る際、そっと口を開いた。「こんなに高価なお酒ですもの、もう少し寝かせた方が美味しくなるかもしれませんわ」

大平愛子は首を横に振って言った。「どんなに高い酒だって、人が飲むためにあるのよ! 私たちが楽しく飲...

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