第84章

あの賢い白い狼が、一族を引き連れて復讐に来るに違いない――俺はそう確信していた。

だが、あれから半月が過ぎても、奴らが動き出す気配は一向になかった。

逆にその静けさが、俺の不安を煽る。

念のため、俺は枯れ葉を集めて罠のカモフラージュを補強しておいた。

作業を終え、三船亜由美の元へ戻る。

彼女は俺を見て問いかけた。

「どうだった?」

俺は首を横に振り、狼の痕跡は見当たらなかったと伝える。

三船亜由美はほっとしたように息を吐いた。

「何もないなら、それが一番ね」

不意に、前触れもなく三船亜由美が足を止めた。俺の腕を掴み、正面から向き直ってくる。

「おじさん、前にわたしが言っ...

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