第88章

中村悠一の気迫は瞬く間に霧散し、まるで大人しい羊のように、逞しく厚みのある黒田輝の後ろへと縮こまった。

丸山玲子たちは、そんな中村悠一をまるで馬鹿を見るような目で見つめている。

小松博が振り返り、柔和な笑みを浮かべて俺に言った。

「海老原和生、見ての通り俺たちは七人だ。魚三匹じゃ腹は満たせない。悪いが、もう一匹恵んでくれないか? 後でもっと薪を運んでくるし、ナマコやアワビなんかが捕れたら、そっちも分けるからさ」

俺は少し考えてから答えた。

「いいだろう、海の魚を四匹やる。薪はもう足りているからいい。その代わり、ナマコやアワビ、エビなんかの海産物が捕れたら、そっちを回してくれれば最高...

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