第7章
夏奈視点
大輔が警察に連行された日の夕方、私は疲れ果てた体を引きずって黒石邸に帰り着いた。中へ入った途端、リビングのソファに座っている美花の姿が目に入った。
「夏奈!」彼女は私を見るなり飛び上がった。「よくも兄さんにあんな仕打ちができたわね!あなたの夫なのよ!」
私はハンドバッグを置き、冷ややかに彼女を見つめた。「美花、あなたがここにいるべきじゃないわ。もう出て行くように言ったはずよ」
「出て行く?」美花は怒って私に詰め寄った。「私を路頭に迷わせて、今度は兄さんを刑務所に送るなんて!あんたって、本当に血も涙もないの!?」
「大輔が刑務所に入ったのは、彼が犯罪者だからよ」私は冷静...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
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