第120章 外で人がいる

桐谷遠の問いに、北村辰の顔つきが曇り、今にも怒り出しそうな気配を察した桐谷遠は、機転を利かせてすぐさま口を閉ざした。

北村辰は自分のシャツを着終えると、佐藤愛の前に立ち、桐谷遠に彼女の顔を見せまいとした。

もちろん、佐藤愛も桐谷遠の前でこんな醜態を晒したくはなかった。

二人が何かを意図的に隠していることに気づいた時、桐谷遠はたまらず再び口を開いた。

彼は声を潜め、北村辰に話しかける。「従兄さん、祖父さんから聞いたんだけど、お宅では兄弟三人に婚約者が決められたそうじゃないか。その相手はもう家に送られてきたって」

「家で婚約者と仲良く関係を育まずに、こんな所でつまみ食いかい?」

桐谷...

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