第138章 心配する必要はない

「兄さん、ご飯ですよ……」

佐藤愛にキスをしていた北村辰は、桐谷遠の声に思わず体がこわばった。佐藤愛はその隙をついて腕を上げ、肘で北村辰の胸を突くと、彼の腕の中から逃れようと試みる。

ところが、力を入れすぎたせいで不意に足が滑り、体ごとプールへと転落してしまった。

まずいと思った北村辰は、とっさに佐藤愛を掴もうとしたが、慣性の法則には逆らえず、彼もまた佐藤愛に引きずられるようにして、まっすぐプールへと落ちていく。

北村家のプールは、一年中水が張られている。

水に落ちた瞬間、佐藤愛の体は間違いなく北村辰の腕の中に抱きとめられていた。

二人とも元々薄着だったため、肌と肌が触れ合った瞬...

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