第6章

 誰もが皆、私のように幸運というわけではない。

 私の姉は、とても不運な女性だった。

 私は生まれつき目が見えなかった。

 両親は私を重荷だと思い、足手まといだと疎んだ。抱きしめてくれることも、話しかけてくれることもなく、私の顔を見ようとさえしなかった。

 姉だけが違った。

 記憶の中の姉は、いつだって優しかった。

 私の手を引いて公園へ連れて行き、一番好きな飴玉を私に残してくれた。私が泣けば、背中を優しく叩きながら子守唄を歌ってくれた。

「礼子、怖くないよ」

 姉はいつもそう言った。

「お姉ちゃんがずっと一緒にいるから」

 姉は私を膝に乗せ、外の世界がどんなものか語って...

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